今回は私が勤めている葬儀社で実際に起きたトラブルの事例をご紹介します。

 

私の同僚が担当した葬儀で、浄土真宗西本願寺派のお客様がいました。浄土真宗西本願寺派では、お骨を分骨して、故人の喉仏の骨だけを本願寺派の本山がある京都のお寺に納骨する、という習慣があります。

西本願寺

 

京都の本山には浄土真宗の開祖である親鸞聖人のお骨が眠っているため、故人のお骨の一部だけでも親鸞聖人と一緒に眠らせてあげようという思いから始まりました。

 

しかし実際には、浄土真宗のお客様でも分骨して喉仏を本山に送るお客様は少数で、浄土真宗の僧侶も「本山に分骨する必要はありません」と仰る方が多いです。熱心な浄土真宗の門徒さんであれば、風習にしたがって京都の本山に分骨しますが、多くの方は分骨せず通常通り、先祖代々のお墓や納骨堂に納骨します。

 

私が勤める葬儀社でも、浄土真宗のお客様で京都への分骨を希望される方は1割もいないと思います。

 

1割にも満たない数とはいえ、お客様に確認しておくべきことですが、同僚は気の緩みから、この確認を怠ってしまったそうです。

 

お客様の方はというと、何も言わなくても当然、葬儀社のスタッフが分骨箱を用意してくれるだろうと思っていたそうです。

 

しかし、私たちは分骨箱を用意していなかったので、お客様は親戚の方からお叱りを受けたそうです。

 

実際、このお客様が以前に葬儀を依頼した大手の葬儀社では、何も言わなくてもスタッフが分骨箱を用意してくれていたそうです。

 

幸い、火葬場の職員が分骨箱を用意してくれたので分骨はできましたが、危うく分骨できない状態になるところでした。

 

お客様はこの件で私共の葬儀社に不信感を抱いてしまったそうです。

 

そして、後飾り祭壇でもトラブルが起きてしまいました。

後飾り祭壇

 

私が働いている地域で、浄土真宗のお寺の場合、お仏壇がある家では祭壇を作らず、仏壇の前に白木の机を置くだけでよい、という指導を受けています。

 

同僚はそのことを説明せずに白木の机だけを置いたので、お客様は
「後飾り祭壇を作ってくれるんじゃないんですか?」
とお怒りになったそうです。

 

この時に分骨箱を用意していなかった件のこともあり、怒りが爆発してクレームになってしまいました。

 

その後、同僚と上司がお客様の元へ謝罪に行き、お許しをいただきました。

 

 

説明不足によるトラブル

今回のトラブルは同僚の経験の浅さや不熱心さが原因ではなく、仕事に慣れてきたが故の気の緩みが原因だと思います。

 

分骨箱や後飾り祭壇については説明しなくてもわかってもらえる、もしくは気にしないお客様が多いので、同僚も説明を省略してしまったのだと思います。

 

葬儀の打ち合わせで担当者がお客様に説明しないといけないことはたくさんあるので、お客様が混乱しないように不要な説明は省くことがあります。

 

今回は分骨や後飾り祭壇のトラブルでしたが他にもお客様から
「どうして先に説明してくれなかったんですか?」
とトラブルになることがあります。

 

言い訳になってしまいますが、葬儀のやり方は宗派やそのお寺の考え方によって微妙に変わってくるので、全てを説明しきることは難しく、逆にお客様の混乱を招くことがあります。

 

また、葬儀社によってやり方が異なるので、「あの葬儀社はこういう風にしていたから、今回の葬儀社も同じようにしてくれるだろう」という考えもトラブルに繋がることがあります。

 

 

お客様の立場からできること

トラブルが起きないように一番努力しないといけないのは葬儀社のスタッフですが、お客様の立場からできることもあるので、少し紹介させていただきます。

 

それは、不安な点やわからないことは葬儀の担当者にどんどん質問するということです。

 

今回のトラブルも「説明しなくても大丈夫だろう」と思い込んでしまった担当者が悪いのですが、お客様が「京都の本山に分骨したい」、「家に仏壇があるけど、後飾り祭壇はどうするのか」などを聞いてくださればトラブルにならなったかと思います。

 

お客様から遠慮なく質問していただくには、コミュニケーションが取りやすい関係を作ることが大切です。これも葬儀の担当者の仕事ですが、お客様の方からも遠慮なさらずに何でも聞いてくださればと思います。

 

 

毎日のように葬儀を施行していると、どこかで気の緩みや慢心が出てしまうことがあります。私も、「この葬儀は一度しかない」ということを忘れず、気を抜かずに仕事をしたいと思います。