日本で施行されている葬儀の8割以上は仏式です。通夜、葬儀で僧侶が読経されるのが一般的ですが、中には「うちは無宗教だから僧侶も神主も呼ばずに葬儀をしたい」という方もいらっしゃいます。

 

無宗教葬(自由葬、プロデュース葬とも言われる)はメディアで話題になっていますが、施行件数は極わずかで、葬儀社もまだまだ手さぐりの状態です。

 

今回は、無宗教の葬儀を行うときの注意点や、無宗教葬の流れについてご紹介します。

 

無宗教の葬儀は珍しい?

私が勤める葬儀社では、無宗教の葬儀は滅多にありません。1年に一回あるかないかという頻度です。

 

普段は仏教を信仰しておらず、お寺との付き合いも全くないという人でも、葬儀には僧侶に来てもらいたいという人が多数派です。

 

しかし、僧侶に読経に来てもらうと、数十万円のお布施(お布施の金額は地域差があります)を包まないといけません。

 

無宗教の葬儀をしたいという方の多くは、「仏教徒でもないのに葬儀に僧侶を読んで、何十万円も払うなんておかしい」と仰る方もいます。

 

また、「お経の意味なんてわからないから、故人らしさが出る演出で送り出してあげたい」という方もいらっしゃいます。

 

無宗教の葬儀をしたい理由は様々ですが、無宗教葬はレアケースなので、様々な注意点があります。

 

 

無宗教葬の注意点

 

①時間を使い切ることが難しい

仏式の葬儀では式中の7割くらいの時間はお経があがっています。式時間は、通夜は30分、葬儀は1時間くらいです。

 

無宗教葬を行う場合も、あっという間に式を終わらせるのはまずいので、少なくても通夜で15分、葬儀で30分は時間を使わないといけません。

 

故人が写っている写真をスライドショーにして流したり、参列者が故人に向けた手紙を読むという無宗教葬もありますが、30分という時間を使いきることができず、早く終わり過ぎて格好がつかないというケースがあります。

 

 

②参列者からの反発

葬儀ではお経をあげてもらうのが当然だ、とお考えの人も多いので、そういった考えの人が参列されると、遺族が怒られる可能性があります。

 

 

③どこに納骨するのかを決めておく

菩提寺(普段からお付き合いのあるお寺)にお墓がある場合は無宗教葬をするとトラブルになりやすいです。

 

葬儀には菩提寺の僧侶を呼ぶ、というのが通例なので、葬儀に僧侶を呼ばず、納骨だけさせてほしいと頼むとお寺との間でトラブルになることが考えらます。

 

無宗教の葬儀を行う場合は、どこに納骨するのかを事前にはっきりさせておく必要があります。

 

④葬儀後の手順が不明確

仏式の葬儀では、葬儀後は初七日をして四十九日が終わったら納骨、一周忌、初盆などの流れが決まっていますが、無宗教で葬儀をした場合は、その後の流れも遺族で決める必要があります。

 

 

無宗教葬の流れ

無宗教葬は自由葬とも呼ばれるので、どのような流れにするのかは遺族が葬儀社や司会者と話し合って自由に決めることができます。

 

故人が子供の頃から、亡くなる直前までの写真を数十枚用意して、生い立ち順にスライドショーを作り、司会者がエピソードをナレーションしていくもの、故人が好きだった曲をバンド演奏するもの、遺族一人一人が手紙を奉読するもの、など様々な形の葬儀があります。

 

気を付けないといけないのは、葬儀社が遺族の希望に応じられるかどうかわからないという点です。

 

多くの葬儀社は仏式や神式の葬儀を想定して設備を整えているので、希望に応えられないことがあります。

 

 

無宗教の葬儀ってどうなの?

葬儀社の立場から申し上げると、無宗教の葬儀はまだまだ手さぐりな状態です。

 

メディアでは新しい葬儀の形としてもてはやされている気がしますが、実際に無宗教葬を行って満足された遺族は少数だと思います。

 

仏式や神式の葬儀は型が決まっている分だけ、楽だとも言えます。遺族と葬儀社で型を作っていく無宗教葬は、準備が大変なわりに親戚や参列者から怒られたり、お葬式をした実感なないなどのリスクもあります。

 

無宗教の葬儀をしたい、という場合は無宗教の葬儀を多く施行している葬儀社を選ばないと、失敗する可能性が高いです。

 

 

私は、無宗教の葬儀をしたいというお客様が相談に来られた場合は、「仏式の葬儀も検討されてはいかがですか?」とご提案しています。

 

檀家になる必要もなく、お布施も低額で読経を引き受けてくれる僧侶を紹介することができるので、お客様の負担も少なくて済みます。

 

また、故人の遺言で「無宗教の葬儀をしてほしい」という意思があっても、その意思を尊重するかの判断は遺族に委ねられます。

 

実際に、故人の意思に反して仏式の葬儀をされる遺族もいますが、これからも生きていくのは遺族なので不徳なことではありません。

 

無宗教の葬儀は、自由にプロデュースできるので一見すると素晴らしいものに見えますが、リスクも大きいと思います。

 

どうしても無宗教の葬儀をしたい、という場合は無宗教葬で実績のある葬儀社を選ばれてください。