葬儀社のCMや広告でよく見かける家族葬は、現代の葬儀の主流になりつつあります。

 

最近では、葬儀の話題がテレビ番組で取り上げられることも増えてきましたが、
そのほとんどが家族葬の良さを伝える内容になっています。

 

たしかに家族葬は、費用面や労力面でこれまでの主流だった
多くの会葬者を招いた葬儀(一般葬)よりも優れていますが、デメリットもあります。

 

この記事では、実務の経験を踏まえながら家族葬のメリットやデメリット、
家族葬が適している家庭などについて、ご紹介します。

 

家族葬のメリット

家族葬が人気になったのには、それなりの理由があり、
現代社会にマッチした葬儀形態ともいえます。

 

家族葬に明確な定義はありませんが、ここでは親族のみの15人前後の葬儀
と仮定します。

 

①費用が安く抑えられる

家族葬では、家族や近しい親族しか参列しないので、
料理や会葬礼品をたくさん用意する必要がありません。

 

また、葬儀費用で最も大きな割合を占める祭壇の費用も節約できます。

 

祭壇の大きさについて、一般葬では
「参列者の人に、みすぼらしい葬儀だと思われないようにしよう」
という思いから、大きな祭壇を頼んでしまうことがありますが、
家族葬では見栄を張る必要がないので、小さい祭壇にすることが多いです。

 

遺族によっては、家族葬だけど故人のために祭壇は大きなものにしてあげたい、
という方もいらっしゃいます。

 

いずれにせよ、費用面では家族葬の方が大幅に安くなります

 

②参列者に気を遣う必要がない

一般葬で会葬者を招くと、遺族は会葬者に気を遣う必要があります。

 

お茶や茶菓子を出すのは葬儀社のスタッフがやってくれる場合もありますが、
挨拶は遺族がしっかりしないと無礼になります。

会葬者がたくさんいると、挨拶だけでも相当な時間がかかります。

 

家族葬では、参列者が親族だけなので挨拶をする必要もなく、
気を遣わずに、ゆっくりできる時間が増えます

 

また、通夜や葬儀での「喪主代表挨拶」や「親族代表挨拶」も、家族葬では省略することができます。

 

 

家族葬のデメリット

費用面、労力面でメリットがある家族葬ですが、葬儀後には
思わぬ手間やトラブルが発生することがあります。

 

①予期せぬ会葬者が来た場合、式場がすぐ満員になる

家族葬では参列者を「親族のみ」、「親族とごく近しい友人のみ」
などのように限定するので、極端に言えば
「呼ばれてない人は来ないでください」
ということになります。

 

しかし、実際に通夜が始まると家族葬であるということを知らない人が、
やってくることがよくあります。

 

隣近所や友人に内密にしていても、どこからか噂が漏れて、
呼ばれてない人がくるというのは日常茶飯事です。

 

せっかく来てもらったのだから追い返すわけにもいかず、
参列してもらうことになりますが、家族葬は小さい式場を選んでいることがほとんどです。

 

呼ばれてない人がたくさん来ると、式場に入りきらなくなってしまうこともあります。

 

 

②「どうして私を呼ばなかったんだ!!」と怒られる

遺族が家族のみでお別れをしたいと思っていても、故人と最後のお別れを
したいと思っている人は、親族以外にもいるかもしれません。

 

葬儀が終わったあとに、友人や知人が自宅にお参りに来て
「私も葬儀に参列したかったのに、どうして知らせてくれなかったんですか!?」
と、トラブルになることがあります。

 

また、親族内でも
「家族しか葬儀に呼ばないなんて不義理だ!」
と意見が割れ、対立してしまうケースも見受けられます。

 

 

③葬儀後に多くの人がお参りに来る

葬儀に一般の人を招かなかった場合は、葬儀に参列できなかった人が
自宅に「お線香だけでも上げさせてください」とお参りにやってきます。

 

お参りに来た人が香典を持ってくると、手ぶらで帰すわけにもいかないので
お礼の品が必要ですし、お茶を出したりもしないといけません。

 

後から後から自宅にお参りの人がやってきて、
遺族は家を留守にできなくなってしまうことがあります。

 

 

家族葬が適している家庭、適していない家庭

家族葬には、後々トラブルが発生するリスクがありますが、
家族葬が適している場合もあります。

 

それは、参列者が少ないということが明確に予想される場合です。

 

故人が高齢で退職してから何十年も経っていたり、
友人や近所付き合いがほとんどない場合は、家族だけで葬儀をした方が
費用も節約でき、ゆっくりとした時間を過ごせます。

 

逆に、故人が現役か、退職してから数年しか経っていない場合、
交友関係が広い場合は、家族葬は適していません。

 

また、故人関係の参列者が少なくても、故人の伴侶や子供、兄弟関係の
参列者がたくさん来ることもあります。

 

多くの参列者が予想されるのに家族葬にしてしまうと、
葬儀後に大きな手間がかかったり、トラブルが起きる可能性があります。

 

 

実際にあった家族葬の事例

私が担当した家族葬で実際にあった事例をご紹介します。

 

亡くなったのは川口幸一さん(仮名)45歳、病気で急死され、
奥様が喪主を務めることになりました。
旦那様は現役の会社員で、高校生と中学生の娘さんがいらっしゃいました。

 

奥様と葬儀の打ち合わせをしていたところ、
「これからの生活や子供の学費のこともあるので、葬儀は親族だけで小さなものにしたい」
というご希望でした。

 

しかし、旦那様は現役だったので、多くの参列者が見込まれ、家族葬にすると
後々トラブルになる可能性もあります。

 

奥様と、もし一般葬にした場合、何人くらいの会葬者が来そうか、と相談したところ、
70~80人の会葬者が来そうとのことでした。

 

私が働いている地域では、香典の平均が約5000円なので、
70人の参列者が来れば35万円の香典収入が見込まれます。

 

香典返しをしても約25万円は実収入があるので、家族葬で費用を全額負担するよりも、
一般葬で香典をあてにした方がよいかもしれません、とご提案しました。

 

後々の手間は一般葬の方が少ないので、奥様は一般葬を選ばれ、
できる限り多くの人にお声をかけられました。

 

結果的に参列者は100人を超え、香典収入も50万円近くになり、
費用面でも家族葬より負担が軽くなりました。

 

もしこのケースで家族葬をしていたら、費用面の負担が大きい上に、
奥様は後からどんどんやってくるお参りの人のお世話に、奔走することになったでしょう。

 

この事例のように、家族葬よりも一般葬の方がメリットが大きい場合もあります。

 

もちろん、家族葬がダメで一般葬が良いというわけではなく、
家族葬をして満足される方も多くいらっしゃいます。

 

家族葬や一般葬がどういうもので、後々にどういう影響を及ぼすのかは
何度も葬儀を経験しないとわからないので、葬儀社のスタッフにご相談いただければと思います。

 

まとめ

・家族葬は費用面や労力面でメリットが大きい
・予想外の参列者が来て、式場に入りきらないことがある
・葬儀に呼ばなかった人から怒られることがある
・葬儀後に自宅へお参りに来る人がいるので、後が大変になる
・参列者が少ないと確信している場合は家族葬が適している

 

少し昔の葬儀では、家族葬という概念はありませんでした。
普通に葬儀を開いたら、結果的にほとんど親族だけになった、ということは度々ありました。

 

故人や遺族の側から参列者を限定する、ということはトラブルを引き起こすことがあるので、
本当に家族葬でいいのか確認する必要があります。

 

葬儀社のスタッフと打ち合わせをする時は
自分の家庭が家族葬に向いているのかを相談してから決められるとよいと思います。